マダガスカルの大統領が新型コロナウイルス感染症の治療薬として推奨している薬草茶について、世界保健機関(WHO)は7日、治験を実施するよう各国政府に勧告したそうです。この薬草茶は、抗マラリア作用が確認されているヨモギ属の植物やその他のハーブから作られています。WHOの勧告に対してマダガスカル大統領は「もしもこの治療法を発見したのがマダガスカルではなく欧州の国だったらそんなに疑念を抱かなかっただろうと述べた」と報じられています。マダガスカルの感染確認数は5月12日朝現在で186人。死亡数はゼロです。
「マダガスカルの薬草茶にWHOが警告、コロナへの効果は未確認」
https://www.afpbb.com/articles/-/3282094
WHOとしては、効果が証明されていない薬草茶のみに依存しては危険であるという警告を発したのでしょう。それは理解できます。伝統医療大国である中国もインドも、新型コロナウイルス感染症の治療法として中医学やアーユルヴェーダ、ユナニ医療のみを使っているわけではなく、現代医学を治療法の中心に据えています。
そうであるものの、現代医学の見方は狭すぎるように感じます。たとえば「白湯論議」。白湯を常時飲むと上気道のウイルスを死滅させるという情報がSNS上で拡散されたのに対して、現代医学の医者やメディアは「これはフェイクニュースだ!」と一刀両断しました。たしかに、アツアツの白湯を飲んでも上気道に入り込んだウイルスを不活性化(死滅)させることはできないかもしれません。しかし、アーユルヴェーダが白湯を飲むことを勧めているのは「ウイルスを死滅させるから」ではありません。白湯をつねに飲んでいると「消化力が高まり、アーマの蓄積を予防し、結果として新型コロナウイルス感染症に罹りにくくなる、あるいは罹ったとしても重症化しにくくなる」という理論です。中医学も同じ理論です。
これが伝統医療の基本的考え方です。現代医学は「敵を直接やっつけよう!」という考え方です。しかし、この考え方はウイルスには通用しません。ウイルスを直接死滅させるクスリはまだないのですから。これに対して、伝統医療は「自分の体の環境を整えて、ウイルスが悪さをするのを防ごう」という考え方です。考え方が違うのです。インドでは新型コロナウイルス感染症の治療と予防のために積極的にアーユルヴェーダやユナニ医学を取り入れています。もちろん現代医療との併用です。感染者には現代医学の治療法と合わせてアーユルヴェーダの生薬も投与されています。軽症者にはマントラ唱和や笑いヨガも導入しています。ヨガやプラーナヤーマ、瞑想も推奨されています。マダガスカルの薬草茶も、体内のアーマを取ることによってウイルス感染を予防したり、重症化を防いでいるのかもしれません。
西洋的な考え方はどうも視野が狭いように感じます。薬草茶のみに頼るのは危険ですが、薬草茶を排除する必要はないと思います。白湯はウイルス自体を死滅させないとしても、白湯をあざ笑う必要はないのです。伝統医療の視野は広いのです。アフターコロナの生き方は、自分の馴染みのないものを排除するのではなく、こころを柔らかく、視野を広くした生き方に変わるような予感がします。アフターコロナにはアーユルヴェーダが世界的に注目度が増すと思います。
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