2013年、アメリカの女優アンジェリーナ・ジョリーが乳がん予防のために両乳房を切除したことは多くの人が知るところでしょう。 母親や親戚に乳がんに罹患した人が多く、彼女自身も乳がんの発症率が非常に高い「BRCA1」という遺伝子の変異が見られたといいます。 乳がんの発症リスクは87%、卵巣がんの発症リスクは50%と診断されたということで、心配し続けるよりも、がんが発症する臓器そのものを切除してしまえば心配はいらない、という発想です。
彼女の決断は彼女のもの。 他人がとやかく言うべきではありませんが、遺伝は病気発症の決定的要因でしょうか。 病気の遺伝的要因は10-15%しかないと言われています。 社会的要因のほうが発症リスクは高いと言われています。 そして食べ物です。 いかに遺伝的病気発症素因を持っていようとも、遺伝子は環境や食習慣を含む生活習慣によって変化することが最近の研究が明らかになっています。 そうした遺伝子の変化を「エピジェネティクス」と言います。 私たちは「遺伝的病気発症素因に対してなすすべがない」わけではないのです。 食べ物は遺伝的素因を凌駕する力を持っています。
私たちの体の中では、毎秒370億回の化学反応が起きているらしいです。 370億回!! すごいです。 この化学反応が起きるためにはビタミンとミネラルが必要です。 たとえば、マグネシウムは、化学反応の一環として300以上の酵素を制御しているのだとか。 ビタミンとミネラルの主な供給源は食べ物です。
栄養素は情報です。 質の悪い食べ物をつねに食べ続けていると、正しい情報が細胞のなかを流れなくなります。 まず実行すべきは、食品添加物の摂取量をできる限り減らすことです。 完全に添加物を取り除くことはムリですが、少なくとも加工食品のパッケージの成分表をみて、添加物の量が多いものは避けましょう。
アーユルヴェーダの食のルールはさらに一歩先を行っています。 ナチュラルな食べ物を勧めていることはもとより、ドーシャにとって良い食べ物、悪い食べ物を区別しています。 しかも万人向けではなく、一人一人にあった食べ物を推奨しています。 栄養素は情報ですから、体質によって間違った情報を与え続けると、病気を引き起こすことは当然でしょう。
アーユルヴェーダにはさらに「ヴィルッダ・アハラ」という概念もあります。 「ヴィルッダ・アハラ」とは間違った食べ方のことです。 全部で18のヴィルッダ・アハラがあります。 ドクター・パルタップはヴィルッダ・アハラについてこう言っています。 「ヴィルッダ・アハラを続けると、細胞同士の情報交換が正しくなくなり、細胞は混乱を起こす」 まさに「栄養素は情報」なのです。 アーユルヴェディック栄養学はそうしたことを教えてくれます。