アーユルヴェーダの食理論は私たちに多くの知識と示唆を与えてくれます。
プラクリティ(生まれた時に決まる基礎的体質)やヴィクリティ(現在のドーシャ状態)によって食べるべき食品と控えるべき食品が決まります。
病気をもっている人にとっては「食べてはいけない食品」もあります。これは一切口にしてはいけない食品です。少しならいいかと尋ねる患者さんがいますが、ドクター・パルタップはこう答えます。
「火事になって消火が必要なときに、少しなら石油を注いでいいか?と聞く人はいないでしょう」
病気をもっていない人にとっての「控えるべき食品」は、基本的に食べない方がいいが、たまになら食べてもよい、という意味に解釈してかまいません。
アーユルヴェーダでは「継続的にその食品を食べ続けたらドーシャのバランスを崩す」と考えられています。たまに食べる程度では問題ないということです。
一方、人間の体は自分が生まれて暮らす風土からできていることも忘れてなりません。
日本人は縄文時代から米を食べていました。弥生時代は主食がドングリなどの堅果類から米に代わる転換期だったと言われています。
日本人は3千年前から米に育まれてきたので、腸内細菌叢も米に関係しています。
日本の食文化に欠かせない大豆が中国から渡ってきたのは弥生時代。奈良時代には味噌や醤油のもとがつくられました。
その過程で日本人の腸には大豆を消化する酵素がつくられました。世界のすべての人が大豆を消化する消化酵素をもっているわけではありません。
日本人はヒジキをよく食べます。ヒジキは無機ヒ素がほかの海藻より多く含まれています。15年ほど前、英国食品規格庁は「ヒジキには無機ヒ素が比較的多く含まれているので、あえて食べないように」という勧告を行いました。しかし、日本人は大昔からヒジキを食べてきました。日本人は、ヒジキに含まれる無機ヒ素が体に影響しないような酵素を発達させてきたのです。
このように、人間の腸内細菌叢や消化酵素は風土によって形づくられているのです。アーユルヴェーダが言う「サトミヤ」がいかに大切であるかがわかります。
写真の料理は「豆腐サラダ」です。オーブンで焼いて水分を飛ばした木綿豆腐と野菜類を味噌ドレッシングで和えた一品です。大豆を使った日本人のための料理です。当校の「アーユルヴェディック栄養学コース」で調理したものです。
アーユルヴェディック栄養学コースでは美味しいアーユルヴェディック料理をつくりながら、こうした食に関する知識やアーユルヴェーダの食理論を身につけていきます。
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