アーユルヴェーダの目的は2つあります。
- 健康な人の健康維持
- 病気の人の病気治療
どちらも大切です。「病気の人の病気治療」はアーユルヴェーダ医師と病気になった本人が担う一方、「健康な人の健康維持」は私たち自身が担うものです。
「健康な人の健康維持」は一般に「病気予防」と解釈されていますが、予防というよりもっと広い意味あいがあると思います。アーユルヴェーダの「健康な人の健康維持」は養生の概念ではないでしょうか。
「予防」は、感染症にかからないようにマスクをするとか、手洗いをするといった守りの姿勢ですが、「養生」は「いまよりさらに健康になる」というパワフルな積極姿勢です。
当校ベーシックコースの生徒さんによる恒例プレゼンテーションで「アーユルヴェーダは強力な養生法だ」という想いを新たにしました。
▶ディナチャリヤで家族が平和になったA子さん
A子さんはいつも夜更かしし、朝は7時―8時に起床していました。なぜ早起きできないのだろうと考えました。考えた結果、アーユルヴェーダだ!と思いつきました。
オンラインによってアーユルヴェーダを学びました。その中で、時間によって生活を変えることを学びました。夜はカファ優勢時間の10時までに就寝し、朝はヴァータ優勢時間の6時までに起きる大切さを学びました。
最初は目覚ましをかけて早朝に起きることにしました。カファ時間に起きるより体が軽く感じ、自分の内側を内観するようにしました。1週間で目覚ましなしで起きられるようになりました。生活リズムを変えるだけで体が調子よくなりました。
舌みがきと白湯を実践すると味覚が繊細になりました。これまで食べていたコンビニの食べ物がマズく感じ、コンビニに行かなくなりました。これを機に、体に入れるものを考えるようになりました。
食事が変わったことで便秘が改善し、体も心も喜んでいるのを感じました。PMSも改善しました。これまでは子供たちを叱ってばかりいました。ママの機嫌が悪いので家族中ピリピリしていました。今は家庭が平和です。ヨガ仲間からも「最近はキラキラしているね」と言われます。
▶患者さんから「おはよう」と言われたB夫さん
看護師さんのB夫さんはもともとヴァータ体質なので、冬は手足が冷たく、皮膚も乾燥します。そこで、オイルマッサージ、ナスヤ、パンチャナッツなど、ベーシックコースで学んだことを実践してみました。
パンチャナッツ(レーズン、アーモンド、カシューナッツ、デーツ、くるみを一晩水につけ、翌朝ペースト上にしてミルクと一緒に加熱する)を毎朝飲んだ結果、寝起きがよくなり、体調が改善してきました。オイルマッサージを実践した結果、手足が温かくなり、皮膚の乾燥も改善してきました。
勤務している病院に入院している患者さんにゴマオイルでケアしてみました。高齢で認知症の患者さんにはゴマオイルで口の中を拭いたり、鼻腔にゴマオイルを塗ったりしました。同僚の協力も得て週3回行いました。
そのなかに脳卒中を患った高齢の患者さんがいました。いつも言葉を発せず、目もうつろ。ところがオイルケアを続けると、表情が良くなり、元気になってきたようでした。他の看護師さんたちも同じように感じました。
ある朝、この患者さんがB夫さんに「おはよう」と挨拶しました。目も焦点が合ってきたようです。
こうした試みは今後も続けようと思っています。
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これがアーユルヴェーダの養生なのです。インドやスリランカでしか入手できないハーブやオイルを使うだけがアーユルヴェーダではありません。アーユルヴェーダは世界中のすべての人に有効な養生法です。
病気になったらアーユルヴェーダ医の治療は必要ですが、健康な人や未病の人を改善に導く養生法としてのアーユルヴェーダは、アーユルヴェーダの大切な分野の一つです。