体質は遺伝子だけで決まるわけではありません。食生活、気候、環境、細菌・ウイルス、紫外線なども体質の形成に大きく影響します。
日本は水の国です。四方は海に囲まれ、雨がよく降り、川の水は潤沢にあります。土壌にもたっぷりの水が含まれています。こうした水の環境下において田んぼの稲作(水稲)が広がりました。水を含んだ米は粉にする必要がなく、そのまま炊いて食べるのに適していました。日本人の食生活は穀物(米)中心となり、日本人の胃は米をしっかり砕いてドロドロにしてから腸に送り出すのに適した形になりました。また、日本人の腸には、でんぷんを消化するための酵素を多く持つビフィズス菌が多く住んでいます。
一方、欧米人の食生活の中心は肉と乳製品です。小麦は粉にしないと食べられないので手間がかかります。ヘブライ文化の地は水が豊富ではないので、ぶどうから採れるワインが水分として普及しました。欧米人の胃腸は、脂肪やたんぱく質、アルコールが消化されやすい形になり、食べたものをスムーズに腸に送り出せるような働きをしています。
このように環境要因によって体質は異なります。日本人の消化器は米対応であり、脂質対応ではありません。だから、昔の日本人は限りなく油脂を排除してきました。天ぷらでさえお皿の上に和紙を敷いて余分な油を吸わせます。そうした食生活を続ける限り、健康維持には体内の余分な水分をとることが重要でした。そのため乾布摩擦が必要でした。
しかし時は変わり、日本人の食習慣は著しく欧米化が進みました。肉、脂肪、乳製品、赤ワインを好むようになりました。長い歴史のなかで脂肪の少ない食生活を続けてきた日本人は、皮下脂肪をためる能力が発達しておらず、内臓脂肪として蓄積しやすい体質になった可能性が高いと言われています。消化できない脂肪や乳製品は油性のアーマとして体内のあちこちに蓄積されるようになりました。
油性のアーマを取り除くためには乾布摩擦では力不足です。「油汚れには油を使う」のお掃除ルールは体内にも応用できます。だから日本人にもパンチャカルマを中心とするオイルトリートメントが必要になったのです。水の国の日本人にもオイルトリートメントが必要になった理由はここにあると思われます。
日本人の食生活が変化したのは近年のことですが、昔の日本人が油と無縁だったわけではありません。日本には「油」の文字がつくお寺が結構あります。「油掛大黒天」をお祀りしている寺社は全国に10か所余りあるとか。大黒天のルーツはインドのシヴァ神です。大黒天の神像にごま油を掛けて幸福を祈願するらしいです。食事からは油を排除して日本人特有の体質を形作ってきましたが、ごま油は昔から特別の位置づけにあったことがわかります。
「油掛大黒天」の写真は油掛大黒天神社のウェブサイトからお借りしました。
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