今回はちょっと聞きなれない言葉の話をします。実は私も、ある緩和ケア専門医の話からネガティブケイパビリティという言葉を知ったばかりです。
ネガティブケイパビリティは「どうにも答えが出ない事態に耐える能力」と言い換えることができます。なんのこっちゃ!
治る見込みのないガン患者さんがいたとします。この人は緩和ケア医に「もう治らないのだから死んでしまいたい」と言います。もしあなたが緩和ケア医だったらどう応答しますか?「そう言わずに。痛みはクスリで緩和できますよ。クスリの量を増やしますか?」と答えるかもしれません。これはポジティブケイパビリティです。問題を解決する能力です。現代はポジティブケイパビリティ(問題解決能力)の育成に力を注いでいきました。
他方、ネガティブケイパビリティをもつ医者の対応は異なります。「う~ん。死にたいほどつらいですか。う~ん」と言って患者と一緒に悩み、「でも私はあなたにこれからもずっと寄り添いますよ」という対応がネガティブケイパビリティだというのです。
今のコロナ禍もネガティブケイパビリティが必要です。どうやらゼロコロナにならなさそうだという現状の中で、どう生活を営めばよいのか簡単に答えがでない状況にあります。そんな時に必要なのは「どうにも答えが出ない事態に耐える能力=ネガティブケイパビリティ」なのでしょう。
アーユルヴェディックカウンセリングをしていると、心に病気の根本原因があるクライアントさんの場合、どうにもこうにも解決法がみつからないことがあります。特に、問題の中にどっぷりつかっていることが居心地よい(コンフォートゾーン)クライアントさんは解決法を求めていないことがあります。以前、睡眠導入剤の使用を止めたいと相談にきた方に「アーユルヴェーダで止めることができますよ」と言ったとたん、結構ですと言って帰っていった人がいました。
アーユルヴェーダが現代カウンセリングと違う点は、心に寄り添うネガティブケイパビリティと合わせて、ポジティブケイパビリティも持っていることです。その人がもっている問題が簡単には解決できないものであるにせよ、その問題によって乱れたドーシャを立て直すことはできるし、ドーシャやスロータスの不調を解決することはできます。そこがアーユルヴェーダカウンセリングの強みと素晴らしさです。そしてなにより「私はあなたにずっと寄り添います」という態度と言葉が大事なのだと思います。
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