ヴェーダ哲学の視点からみると、怒りは欲望と表裏一体です。欲望と怒りは罪作りだと考えられています。
何かをほしいという強い欲望を抱くと、それを得るために正当な手段を用いることもあれば、不正な手段を用いることもあります。不正な手段を用いてまでも欲望を満たしたいという思いは自分の中にある敵とされています。欲望という卵はやがて孵化して罪を犯すことになるからです。
怒りも同様に罪だと考えられています。これを手に入れたいという欲望が達成されないとき「それを阻んでいるのはアイツだ」と思い、その人に怒りを向けるからです。欲望が満たされないと、それは怒りに変わります。
壁にボールを投げつけると自分に跳ね返ってくるように、怒りでだれかを攻撃すると、その攻撃は自分に跳ね返ってきます。傷つけたいと思う相手よりも、自分のほうが一層傷つきます。怒りに負けると、体にも心にも痛みが走り、自分を醜くしてしまいます。つねに怒り、ののしっている人の顔は老け込み、醜さが現れています。
つねに怒りを感じていると、やがては病気につながります。正義がまかり通らないときには怒りを感じるものです。しかし、道にはずれたことに対して発する怒りを意味する義憤と、欲望が満たされないことによる怒りは別なのではないかと思います。義憤は冷静な心によるものだと私は思っています。
ま、それほど強い怒りではないにしても、つねに怒っている人と、あまり怒らない人がいます。私は根がカファのせいかあまり怒りません。少なくとも怒りを表しません(理不尽なニュースにはよく怒りますが)。個人的なことで怒ると頭がクラクラするので怒りを遮断する技に頼っています(笑)。アーユルヴェーダによって怒りを鎮める方法を身につけましょう。
脳がネガティブな刺激を受けるとだれでも怒りを感じます。しかし怒りが常態化すると生体を傷つけ、高血圧や心臓疾患などさまざまな病気を誘発します。心は激しく乱れ、落ち着きを失うので、不幸感に見舞われます。
アーユルヴェーダによると、怒りは「マノーヴァハ・スロータス」になかでピッタが増悪することによって起こります。マノーヴァハ・スロータスは心のスロータスです。
ピッタは熱い、鋭い、軽いという質をもっています。こうした質をもつ食べ物や生活習慣、人間関係などを続けると、ピッタが過剰に増えます。これに対する対策法として、重い、滋養豊か、冷性、安定しているといった反対の質をもつ食べ物や生活習慣を取り入れるとよいのです。
熱性や辛いものの摂取を止め、甘味、苦味、渋味の食べ物を摂りましょう。たとえば、トゥルシ、デーツ、カシューナッツ、ターメリック、緑の葉物、ゴマ、クミン、ひよこ豆、コリアンダーなどです。怒っているときにケーキを食べると落ち着くのは甘味にせいですね。
怒りに負けているときには正常に考えることもできません。そんなときは酸素を取り入れることが大事。そのためには呼吸法(プラーナヤーマ)が効果的。シータリプラーナヤーマやシートカリプラーナヤーマがおススメです。
オイル療法では鼻からオイルを入れるナスヤがおススメです。マノーヴァハスロータスの乾燥を防ぎ、心を落ち着けます。マノーヴァハスロータスのピッタを鎮めるためには、就寝前にギーを点鼻するのがいいです。毎晩でもいいです。
つねに怒りを感じている人は心の中になにかがあるかもしれません。そういう方はカウンセリングを受けるのもいいかもしれません。ジヴァ・ジャパンではアーユルヴェディックカウンセリングをお受けしています。ご希望の日時をお知らせください。