人間は3本の柱から成り立っています。
体
心
魂(意識)
これに感覚器官も加わりますが、3本の柱は上記のとおりです。この3本の柱のことを「トリ・スタンバ」といいます。
3本の柱を支えているのは食べ物、睡眠、制御された性生活です。
体-食べ物
心-睡眠
魂(意識)-制御された性生活
体の健康には食事が最も大切です。アーユルヴェーダには「食事が正しければクスリはいらない。食事が正しくなくてもクスリはいらない」という言葉があります。「食事が適切ならば病気にならないのでクスリはいらない。食事が間違っていれば病気になり、いくらクスリをとっても病気は治らない」という意味です。
コロナの時代になってから「より良い食事」に対する関心が高まっているように思います。アーユルヴェーダにおいて、食べ物(アハラ)は予防医学の第一歩です。正しい食事と食習慣は体と心のウェルビーイングに不可欠な要素です。食べ物と食事の仕方について正しい知識を身につけることが、健康度を最大限に高め、病気になるリスクを最小限に抑える最善の方法といえます。
栽培地
食べ物を栽培する土壌、天候、気温、雨量、湿度は食べ物の栄養価や味を決定づけます。たとえば、水の多い環境で栽培された穀物や野菜は消化しにくく、重い質をもっています。一方、乾いた環境で栽培された穀物や野菜は消化しやすく、軽い質をもっています。この観点からショウガを考えてみると、インドのショウガも日本のショウガも温性であり、消化を促進することには変わりありませんが、土壌が乾燥しているインドのショウガのほうが相対的に軽く、より消化を促すと考えられます。その分、薬効がより高いといえます。
ここで疑問が湧いてきます。日本は周囲を海に囲まれ、雨量も多い環境です。日本人の体質はカファだと言われています。体内の水分が多くて重くて冷えやすい。なのに、どうして水田が発達したのでしょうか。陸稲のほうが適していたのではないかと思うのですが。山からの水が豊富にあったからでしょうか。その分、消化が重くなるのになぜ? 陸稲のほうが消化に軽いことは実感できます。ナゾ。
カーラ(時間・季節)
カーラは食べ物が栽培される時や季節を示しており、さらにそれを食べる時間や天候も示しています。たとえば、夏に辛いものを食べたり、冬に冷たい食べ物や飲み物を摂ることは健康に好ましいことではありません。真冬にも営業しているかき氷屋さんがありますが、消化のためにはNGです。真冬に部屋を暖めてアイスクリームを食べるのは最高!という人もいますが、アーユルヴェーダ的にはおススメできません。その意味において、真夏にピッタ体質の人が高温の白湯をたくさん飲むことも正しくはないですね。
食べる人
食べる人の年齢、消化力、食習慣、感情なども食事の適量に影響します。消化力が弱くなった高齢者にとって重い食べ物は適切ではないですし、消化の火が強い人が軽すぎる食べ物ばかりを食べるのも好ましくはありません。カファ体質の人は温性で辛味の食べ物を若干多めに摂ってもいいですが、ピッタ体質の人が同じ食事をすると体調不良に見舞われるリスクが高くなります。
写真の食事は、小澤一美さんがつくってくれた当校ベーシックコースのランチです。3月はカファが増える季節。油分と塩分を控え、ターメリックを活用した春の食事です。キャベツはカファを減らします。