アーユルヴェーダの健康の定義は現代の健康定義より奥が深く明確です。
ドーシャのバランスがとれ、ダートゥのバランスがとれ、アグニ(消化の火)が適切に働き、マラ(老廃物)が適切に排泄され、感覚器官が正常に働き、心と魂が満たされている状態を健康(スワスタ)という。
どうですか。アーユルヴェーダの健康の定義は明確であり、かなりハードルが高いと感じます。現代は、便・尿・汗が適切に排泄されていなくても、病気になっていなければ「お元気ですね」と言われます。
アーユルヴェーダでは、ドーシャ、ダートゥ、マラが健康のキーポイントです。マラの代表は便、尿、汗。便秘と下痢は万病のもとなので、正常ではない排便に対してはだれもが気にかけるでしょうが(気にしていない人もいるかな)、尿についてはそれほど気にしていないように思われます。しかし、尿も体の健康に大きく影響しています。
健康な人は、起きているときに4回から7回程度の排尿を行います。約1.4リットルの尿を排泄します。10回を超えると頻尿で、これは問題ですが、少なすぎても問題です。なかには起きている間に1回しか排尿のためにトイレに行かないという人もいます。多尿も乏尿(1日の排尿量が400ml以下)もドーシャのアンバランスを示しています。
マラが適切に排泄されないと、体に再吸収され、ラクタダートゥ(血液組織)を通って体内を循環します。マラの排泄を我慢すると、体の不快感や泌尿器のイライラだけでなく、スロータス(体内チャネル)を押さえつけてしまいます。結果、体にアーマができてしまいます。
乏尿の場合は、膀胱や尿路の痛み、排尿時の痛みや灼熱感、黄色味が濃い尿、脚・くるぶし・顔のむくみにつながります。
体がむくむことを懸念して水の摂取を抑えている人がいますが、これは逆効果。水をしっかり飲みましょう。1.5リットルは飲みましょう。甘味、塩味、酸味の飲料は利尿作用があります。麦茶、ココナッツウォーター、さとうきびジュースを飲むのもよい方法です。麦茶は体を冷やすので、これからの季節は温めて飲んだほうがいいです。
企業のなかには部下がトイレに行く回数をチェックしている上司がいるので、トイレに行く回数を減らすために水を飲まないようにしているという従業員がいます。社員の健康を軽視するブラック企業ですね。
多尿の場合は、膀胱に不快感が生じ、脚が弱くなったり痛みを生じたりします。多尿を改善するために以下のことを試みてください。
●ヨーグルトやバターミルクを毎日摂る(ただし、カファ体質にはヨーグルトは適しません)。
●毎日の料理にクミンシード、フェンネルシード、ジャガリ―(黒糖)、シナモン、フェヌグリークシードを活かす。
マラのバランスがとれていることは健康のバロメーターです。ご自分の排尿が正常かどうか見直してみてください。
●ヴァータ体質の尿は色が薄く透明です。
●ピッタ体質の尿は黄色味が強めです。
●カファ体質の尿は白っぽい色をしています。