コロナ感染拡大に伴い「コロナうつ」や「コロナストレス」に陥る人が増えているそうです。コロナ前と変わらない気持ちでいる人はいったいどのくらいいるのでしょうか。私はコロナ前にはマスクを着用する習慣はなく、インフルエンザに罹る心配をしたこともないし、実際に罹ったこともありません(おそらく)。それが今は毎日マスクです。それだけでもストレスです。行動の制限もストレスとなります。いつ自分が感染するかわからないという気持ちもストレスです。ニューノーマルが一時的な変化なのか、未来永劫の変化なのかを知りようがないこともストレスです。
在宅勤務もストレスです。私の知り合いは、夫が在宅勤務になったことがストレスとなり、自分はオフィスに出勤する仕事を見つけて家にいないようにすることを選択しました。
私たちはニューノーマルに慣れようと努めていますが、その努力自体がストレスです。仕事を失った人もいるでしょう。学校の授業は正常化していません。入学してから一度も登校していない大学生の多くも抑うつ状態に陥っています。
だれでも気持ちが落ち込むことはあります。試験に落ちたとか、カレと喧嘩したとか、仲の良い友達だと思っていた人が陰で自分の悪口を言っていることを知ったとかなど、気持ちが落ち込む要因はいろいろあります。一定の時間が経てば立ち直ります。これは普通です。
うつは違います。悲しみや鬱々した気分、怒り、喪失感、集中力・決断力の欠如、自分を破壊しかねないネガティブな考えなどの心理的な落ち込みが極端になる状態です。不眠にもなります。
アーユルヴェーダは、うつとは心の機能的質であるサットヴァが減少した状態であると考えます。心には3つの質があります。サットヴァ、ラジャす、タマスです。サットヴァは純粋、集中力、記憶力、創造力、スピリチュアリティ、規律、正直さなどを示す質です。サットヴァが多い心は健康であり、ラジャスやタマスが多い心は不健康とされています。ラジャスやタマスは心の扇動や混乱を引き起こす質であり、うつや不安感を招くリスクが高くなります。こうした心の質は感覚器官で感じられるものではなく、行動から推測されるものです。
私たちはコロナの感染拡大を抑えるために個人個人ができることを精一杯やっています。人と近くで話すときにはマスクをつけるとか(賛否はあれども)、密を避けるとか、手を洗うとか。そのおかげで日本では感染爆発になっていないのだと思います。
それでも毎日、陽性者は一定数出ています。個人レベルではどうしようもありません。自分ではどうしようもないことに直面したときに必要なのは「心のスタミナ」だとドクター・パルタップは言います。心のスタミナを強くすることによって、自分ではどうすることもできないことによって心が落ち込みことを予防することができるのです。
どうやって心のスタミナを強くすることができるかというと、心のサットヴァを増やすことです。サットヴァを増やし、心のスタミナを強くするアーユルヴェーダの治療分野を「サットヴァ・ヴァジャヤ」と言います。
具体的にサットヴァを増やす方法をお伝えします。
- 毎日20分間瞑想をする。
- ヨガやプラーナヤーマ(呼吸法)を行い、運動も定期的にする。
- 決まった時間に就寝する。10時に寝るのが理想。質の良い睡眠をとる。
- アーモンド、レーズン、ギー、はちみつ、緑黄色野菜、季節の果物をたっぷり食べる。
- ジャンクフード、揚げ物、加工食品、工場由来のパックに入った食品は避ける。
- コーヒー、紅茶などカフェイン飲料をノンカフェイン飲料に代える。
- 気持ちを上向かせる黒コショウ、ジンジャーパウダー、ターメリック、アムラパウダー、クローブ、カルダモンを料理やドリンクに使う。
- 気持ちを落ち着かせる音楽(心を高ぶらせる音楽はダメ)、自然の中に身をおく、ガーデニング、クリエイティブな活動、良質な本を読むなど、心をリラックスさせる行いをする。
- 定期的にヘッドマッサージやアビヤンガを行う。体と心をリラックスさせる効果絶大。
- 執着を捨てる。うつに陥っている人の多くが喪失感を持っています。しかし、この世の物質世界には永遠のものはないことを心得ましょう。
- 心を整え、脳を強壮するブラーミ、シャンカプシュピ、アシュワガンダを摂る。神経系を強くし、心を若返らせます。
- パンチャカルマ、とくにシローダーラを行う。ストレスを取り除きます。
- できる限り多くの感謝の言葉を表す。うれしかった出来事を書き出す。人に親切な行いをする。
- 今に気持ちをむける。許す。友だちや家族と過ごす時間を増やす。
- 自分だけの時間をもつ。
キーワードは「心のスタミナ」ですよ!