8月に4回シリーズでドクター・パルタップの「アーユルヴェーダ心理学」ウェビナーが行われました。今回の講座も深い内容で、それを明確に説明してくれるので、受講された方々の心に関する理解は高まったと思います。
アーユルヴェーダは「医療」として発達してきましたが、私たち現代人が思う医療よりもっと幅と奥行きが広いのです。アーユルヴェーダは、病気を治し、病気を予防し、健康と幸福を追求します。その目的のために体、心、感覚器官、魂をつねに考慮の対象としているのです。
アーユルヴェーダは、体と心の健康維持と病気発生に心が大きく影響すると言っています。アーユルヴェーダ心理学ウェビナーのなかでドクター・パルタップは、心の健康と強さを得るためには心のサットヴァを高めることが絶対的に必要だと何度も言いました。ドクター・パルタップは心の強さを「心のスタミナ」と表現しました。
コロナ禍において心が鬱々としている人が増えています。対面授業が始まっていない大学でも鬱っぽい状態になっている学生がたくさんいるというニュースがありました。過去のツライ体験を消化できないままトラウマに苦しんでいる人もたくさんいます。そういう心の苦痛を回避するためには「心のスタミナ」が必要だというのです。
どうやって「心のスタミナ」をつけるのか?それは「心のサットヴァを高める」ことです。心の機能には3つの質(グナ)があります。「トリ・グナ」とは心のサットヴァ、ラジャス、タマスを指す言葉です。サトヴィックな心を持っている人は、親切で、やさしく、静かで、調和的であり、礼儀正しく、公正であり、ものを明確に見通す力をもっています。知性、生産性、目標を達成する力もあります。サトヴィックな心は浄化された状態であり、安定していて、自己コントロールができていて、明朗です。
食べ物にもサトヴィックな食べ物群があります。新鮮で、栄養豊かで、クリーンで、ヘルシーなものがサトヴィックな食べ物です。
ヴェーダの珠玉の聖典と言われる『バガヴァッド・ギータ』には、人間の心の質(グナ)の影響力について詳しく書かれています。14章16節にはこう書かれています。
“karmanah sukrtasyāhuh sāttvikah nirmalah phalam, rajasas tu phalam duhkham ajñānam tamasah phalam”. (Chapter 14, Shloka 16)
「よい行いの果実は純粋であり、サットヴァから生まれる。ラジャスの果実は悲しみである。タマスの果実は無知である」 ( 14章16節 )
『バガヴァッド・ギータ』には「似たものは似たものをひきつけ、善は善をもたらす」と書かれています。純粋で神性を表すサットヴァしかサットヴァをひきつけることはできないのです。
どうしたら心のサットヴァを高めることができるでしょうか。まず、サトヴィックな食べ物を食べましょう。できるだけ加工していないナチュラルなものを食べることです。ナチュラルな材料で食事を作るのは結構大変です。工場で作られる調味料を使えばラクチンですが、それを使わないとなれば時間がかかります。だから自然とシンプルなレシピになります。サトヴィックな料理はそれでいいのです。
ポジティブな考え方や肯定感も大事です。
心を汚してしまう利己的な考え、過剰な野心、執着、貪欲、高慢、嫉妬も可能な限り遠ざけましょう。人間である限り、こうした感情を100%排除することはできませんが、ラジャスとタマスを理解しておくと、自分の心の現状を知ることができます。心が浄化していると真実をみる力がついてくるので、この世界を理解し、少しでも神性に近づくことができるでしょう。なによりも心が静かになり、心のスタミナがつきます。