アーユルヴェーダは科学的か否か

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4月25日から28日までインド大使館で「サイエンス・ウィーク」のイベントがありました。これは日印国交樹立70周年記念事業の一環だったのですが、26日は「アーユルヴェーダ・デー」でした。インド大使館の分類としは、どうやらアーユルヴェーダは科学の分野に入ったようです。それまでアーユルヴェーダは文化部の範疇でした。

26日はアーユルヴェーダにかかわっている人たちの講演会であり、私もお話しました。

25日から28日までの4日間はアーユルヴェーダ関連物展示を行いました。ほとんど宣伝をしなかった割にはいろいろな方が展示会を訪れてくれました。

その中に印象的な話をされた方がいました。その方は数年前に前立腺がんがみつかり、標準治療を受けておられたそうです。しかし病状は思わしくなく、自分でいろいろ調べた結果、主治医が処方した治療薬を一切断ち、アーユルヴェーダの治療を受けたのだそうです。その結果、がんを克服したとその方はおっしゃいました。展示会での立ち話なので、主治医から「寛解(一時的あるいは永続的に、がんが縮小または消失している状態のこと)」と言われたのかどうかはお聞きしませんでしたが、ご本人としてはがんと折り合いをつけたことは事実のようです。

こういう実例があると、「私もアーユルヴェーダ治療を受けたい」と思うがん患者さんもいるかもしれません。がん治療の選択肢が増えることはとてもいいことです。しかし、「科学的であること」の特徴である「再現性」を期待しすぎることは禁物です。「科学的であること」の特徴は2つあります。

1.その方法が同じならば、いつ・どこで・誰であったとしても、同じ答えや結果にたどり着くこと。これが再現性です。

2.原因と結果の関係がきちんとあること。これは因果関係という性質です。

展示会を訪れてくれた方はアーユルヴェーダ治療でがんを克服したとしても、別の人が同じ方法でがんを克服できるとは限りません。つまり再現性は高いとは言えないということです。では、アーユルヴェーダは科学ではないのか?現代医学の再現性は高いのか?現代医学の標準治療だって100%治るわけではありません。肺がんの治癒率は50%以下です。相手はがんだし、患者さんの細胞の質や心の質によっても治療効果は異なります。

では、科学的であることの2つめの「原因と結果の関係がきちんとあること」はどうでしょうか。アーユルヴェーダでは、病気の状態を示すヴィクリティには3つのタイプがあります。

  • Lakshana Nimitta(ラクシャナ・ニミッタ):このタイプのヴィクリティは前世の行い(カルマ)の結果と考えられ、一部の先天的病気がこれに分類されます。
  • Lakshya Nimitta(ラクシュヤ・ニミッタ):原因を断定できる病気がこれに分類されます。
  • Nimittanurupa(ニミッタヌルパ):原因不明の病気がこれに分類されます。

ラクシャナ・ニミッタとラクシュヤ・ニミッタは原因と結果の関係がありますが、ニミッタヌルパは原因と結果の枠を超えています。

現代医学においても原因不明の病気がほとんどです。医学は科学であって科学ではないと言えなくもありません。

病気を治すためには、医者による治療だけに依存せず、食事の改善、生活の改善、心のあり方など、自分が積極的に治療に関与することが大切なのです。

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