アーユルヴェーダのオイルトリートメントの一つに「カティバスティ」があります。粉で土手をつくり、その中に温かいオイルやギーを一定時間入れて病気を改善する療法がバスティです。「カティ」は腰。カティバスティは腰痛を改善するための療法です。
バスティはいろいろな部位に対して行われます。
カティバスティ:腰
ジャヌバスティ:ひざ
グリーヴァバスティ:首
フリダヤバスティ:心臓
チャクラ(ナビ)バスティ:おへそ
写真はカティバスティです。インドではバスティの周りをタオルで覆うようなことはしません。しかし日本の気温はインドと比べてはるかに低いので、タオルでカバーしなければ寒いと感じる時が多いのです。
バスティはパワフルです。腰の痛みで歩くのがやっとだった人が、カティバスティを1回しただけでスタスタ歩けるようになりました。オイルが神経や筋肉に与える治療効果はバツグンです。
あるアーユルヴェーダセラピストが実家に帰ると、お母さんが腰痛でツライ状態にありました。台所に行くと、ゴマ油はなくサラダ油しかありませんでした。サラダ油でカティバスティを施してみると、お母さんの腰の痛みは大幅に緩和しました。
バスティ療法は治療効果がパワフルですが、反作用もパワフルになることがあります。当校「オイルマッサージ専門家養成コース」の生徒さんは、お正月が過ぎたころ、突然腰が痛くなりました。さっそくカティバスティを試すことにしました(ご家族に手伝ってもらったのかしら?)。カティバスティを行ったその夜、腰が激しく痛み始めました。どうして? 振り返ってみると、お正月中に食べ過ぎていたのでした。腰にアーマが溜まったのだと考えられました。バスティはアーマ性の痛みには適さないのです。
ある人はゴマ油でマッサージすると皮膚に痒みがでることを知っていました。しかし、カティバスティは局所にゴマ油を使うだけなので大丈夫だろうと思い、施術を受けました。ところが、脚に湿疹が現れたのです。神経は上から下に伸びています。下半身の神経は腰から脚に伸びています。腰の局所に充当したオイルの影響が教科書どおりに脚に現れたのですね。
ある人は独自の判断で胃の上にバスティを行いました。施術後、胃が猛烈に痛くなりました。バスティのあとにミルクティーを飲んだそうです。それが影響しているかもしれません。
オイルトリートメントは治療法です。良くも悪しくも、どちらに転んでもオイルはパワフルです。そのことを念頭に置いたうえでオイルトリートメントを行うと、素晴らしい効果が得られるでしょう。