最近、「ウェルネス」「ウェルビーイング」という言葉をよく聞きます。一種のブームのようになっています。しかし、意味がいまひとつはっきりしません。辞書をみるとwellnessは「健康であること」、well-beingは「健康で安心なこと、満足できる生活状態、福祉、福利、幸福」とあります。わかったような、わからないような。「ヘルス」「ウェルネス」「ウェルビーイング」の違いがまだわかりません。
大手企業の従業員向けウェルネス・プログラムを手掛けているジム・パーセル氏によると、ウェルネスという言葉はヘルス(健康)と強い関連を持ち「身体的な健康」という意味で使われることが多いとか。そりゃそうだとは思います。
そのため、企業従業員向け「ウェルネス・プログラム」の多くは、エクササイズ、肥満対策、高血圧対策、禁煙などがプログラムの内容となっています。社員が身体的に健康になれば、企業の医療費負担が減ると期待されているからです。
一方、ウェルビーイングは、単に「病気がない」という状態を指すのではなく、身体、精神、感情などさまざまな要素において健康な状態にあり、幸福感や達成感、目的意識などを持ち人生をポジティブに捉えられる状態を意味するとジム・パーセル氏は指摘しています。
なるほど。
だから、高いレベルのウェルビーイング状態にある社員は、心身とも健康であるだけでなく、高い集中力と生産性を持つ傾向にあるといいます。
なるほど。
これこそが企業経営者が望むことだし、ミレニアル世代(20―30代)が大切にしていることです。若い世代はお金のためだけに仕事を選ぶのではなく、やりがいや達成感に重心をおいて仕事を選ぶと言われています。もっとも、理念に燃えて仕事を選んだ結果、報酬が安すぎてギブアップした事例も多々見られますが。
イギリスの企業は従業員向けプログラムとして「ウェルネス」から「ウェルビーイング」に移行しているそうです。具体的にどんな内容なのか。パーセル氏が挙げるウェルビーイング改善のための施策には以下のような取り組みが含まれているそうです。ストレスを低減させるためのフィナンシャルカウンセリング、瞑想・ヨガ、サポートグループ、メンタルヘルスサービスなど。
これってアーユルヴェーダがカバーしていることですね(フィナンシャルカウンセリングは別ですけど)。アーユルヴェーダがスゴイところは、体の健康、心の健康、社会の健康、企業の健康を網羅していることです。アーユルヴェーダは人間の体、心、魂(意識)を扱っています。古代のアーユルヴェーダのリシ(賢者)たちは、自分たちが企業従業員の視点からアーユルヴェーダを述べているという意識はなかったでしょうが(古代に企業はありませんからね)、現代の視点から『チャラカ・サンヒター』を読むと、アーユルヴェーダはかなり企業に応用できることがわかります。
企業従業員向けウェルビーイング・プログラムは、アーユルヴェーダを土台にした内容がふさわしいと思います。アーユルヴェーダは個人の健康にも企業の健康にも有効だという思いをますます強くしました。
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