為合わせる(しあわせる)ことが幸せ

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私は日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラーです。この協会は大規模な協会です。そのせいか、仕組みもよくできています。認定産業カウンセラーの資格を維持するためには、講座を受講して一定の受講点数を達成しなければなりません。それぞれの講座に点数がついていて、何年間で何十点以上になるよう講座を受講しなければならないという仕組みです。協会から「あと5点足りない」という連絡がきました。コロナ禍でオンライン受講が一気に進み、簡単に受講できるようになりました。日本産業カウンセラー協会の講座は土日が多く、仕事がある私にとってはなかなか受講できない状態でしたが、オンライン化によって利便性が格段に上がりました。

というわけで、玄侑宗久さんの「日本人の心のかたち」という講和を受講することになりました。玄侑宗久さんは福島の福聚寺の住職さんであり、芥川賞作家です。さすがの僧侶兼作家というべきか、なかなか興味深い内容でした。

そのなかで特に興味深かった話の一つは「為合せ」についての話です。「為合せ」は「しあわせ」と読みます。「為」は「あの方」という意味です。「あの方」ってだれ?天のことです。つまり神のことです。「為合せ」とは「あの方に合わせる」という意味なのです。「あの方がなさったことに合わせるしかないでしょう」という考え方です。天災の多い日本において「天がなさったことに合わせるしかない」と思わなければ生きていけなかったのかもしれません。あの方(天)に合わせる限りは恨みはなしです。ゼロから再び生きていくことができます。

この講和を聴いて、ヴェーダの考え方に似ていると思いました。ヴェーダでは「自分がすべきこと(ダルマ)をしっかりする。結果は神(天)にゆだねる」と考えます。自分がすべきことをしっかりしたとしても、思うような結果が得られないかもしれません。でも、それは天が決めたことです。天に合わせるしかないのです。そこには恨みも嫉妬もありません。そうした状態が「しあわせ」なのです。しあわせとは心が静かでリラックスした状態を言います。天に合わせているのですね。

「為合せ」がいつの間にか「仕合せ」と表記するようになりました。天に合わせるのではなく、人に合わせるのです。そうすると人を非難したり、人に恨みをもったりします。イライラします。心は静かではいられません。リラックスもできません。「しあわせ」から遠ざかっていきます。

アーユルヴェーダはそうならないように「サットヴァ」という概念を大切にしているのです。インドの哲学は本当に偉大です。

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