穏やかにバランスのとれた心が免疫力を高める理由

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2度目の緊急事態宣言が発令されました。1度目の宣言内容より緩いし、コロナ慣れしたこともあって、繁華街から人影がまったく消えるということにはなっていないそうです。しかし、日常の行動が制限されているのはストレスです。企業業績も悪化しており、雇用状況も悪化の一途。とくにサービス業の非正規労働者が大きな影響を受けています。コロナによる社会生活への影響は計り知れません。それによるストレスは甚大です。コロナ禍が始まって以来、睡眠の質が低下したと答えた人は70%にのぼるというアンケート調査もあります。これまでの生活リズムが狂うと、体と心に大きな弊害をもたらします。

ストレスが長引くと、年齢や既往症と相まって免疫力を低下させ、健康を脅かすことになります。とくに現在のようなウイルス感染症が流行しているときには、そのリスクが増大します。

メンタルヘルスが免疫力に影響を与えるメカニズムについてアーユルヴェーダの観点から見ることにしましょう。

ラサダートゥから抗体への転換

何かを口に入れて食べると、ただちに神経反応が始まり、唾液を分泌させて消化を促します。こうした作用は食べたものが消化管を通る間ずっと続き、消化された食べ物はラサ・ダートゥに転換されます。ラサはリンパ球と抗体に転換され、体に侵入してくる病原体から身を守ってくれます。

しかし、心がストレスで押しつぶされ、心ここにあらずになると、食べているものに気持ちを集中できなくなります。すると消化液が分泌されず、食べたものが有益な抗体になるどころか、有害な体内毒素(アーマ)に変化してしまいます。アーマは「すべての病気のママ」というダジャレがでるほど多くの病気の原因となります。毒素が溜まった体を浄化し、免疫力を回復させるためにもストレス対応が必要になります。

健全な心はプラッギャーパラーダを回避する

「プラッギャーパラーダ」とは、健康によくないとわかっていながらやめられない生活習慣をいいます。自分自身と知性に対する罪だとアーユルヴェーダでは考えられています。「プラッギャーパラーダ」という言葉の概念を現代語に置き換えられないかもしれませんが、「知性に対する罪」と理解するのがいいと思います。小さな過ちでもそれを繰り返せば、大きな結果になります。

たとえば、知性は、たばこを吸ってはいけない、お酒を飲みすぎてはいけない、ファーストフードを食べてはいけないと自分に語りかけます。しかし、わかってはいるけれども、たばこを吸い、お酒を飲みすぎ、ファーストフードを好んで食べた結果、病気や免疫力の低下という形で自分に跳ね返ってきます。心がストレスを感じていると、こうした大切な決断について熟慮することができなくなります。その意味において、免疫力に影響を与える健全な選択をする上で、心のバランスのとれた平安がカギとなるのです。

バランスのとれた心は免疫力(ヴャディクシャマタ)を高める

アーユルヴェーダは免疫を3分類しています。免疫不全=オジョクシャヤ、自己免疫=オオジョヴィスラムサ、免疫過剰反応=オジョヴャパトの3つです。免疫力の強弱の要因としては、体質的要因(サハジャ)、季節的要因(カジャラ)、後天的要因(ユクティクリタ)の3つがあります。

知っておくべきことは、サハジャは両親から引き継がれた免疫力ですが、ユクティクリタは免疫力の強化に欠かせない3つの要因をしっかりケアしているかどうかにかかっているという点です。つまり、食べ物(アハラ)、ニードラ(健全な睡眠)、欲望のコントロール(ブラフマチャリヤ)です。こうした免疫力を高める後天的要因をうまくコントロールできるのは、心にストレスや不安がないときだけなのです。メンタルヘルスが免疫力を左右するとアーユルヴェーダが言っている所以はここにあります。

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