かつて「リラックスしたら片頭痛が起きる」という上司がいました。リラックスしたら吐くほど激しい頭痛が起きるというのはつらすぎます。いつも緊張していなければならないなんて。片頭痛には緊張型と緊張緩和型があります。この上司は後者です。東北大震災後の緊迫した雰囲気が続いた時期、私が勤めていたオフィスでは片頭痛で数日間休む人が複数人いました。緊張型ですね。
忙しい生活、ストレス、睡眠不足、不健康な食生活などで片頭痛に悩む人は子供にも広がっています。片頭痛が起きたとき、鎮痛剤で痛みを和らげることはできるでしょうが、片頭痛そのものが治ったわけではないので、何度も繰り返します。抜本的な解消を目指したいものです。
病気の根本原因を取り除くことを第一の治療とするアーユルヴェーダは片頭痛にも活かすことができます。アーユルヴェーダの治療法は一人一人違います。片頭痛は症候群なので、片頭痛を持っている人はどんな症状が現れるか見直しましょう。
ヴァータ性片頭痛
激しい頭痛で、首コリ、便秘、おなかのガス、生理不順を伴うことがあります。乾燥して風が強い日に頭痛が悪化しやすくなります。長距離移動、スッキリしない睡眠、恐怖感、緊張、過剰な性活動、悲しみ、トラウマも片頭痛を誘発します。
ピッタ性片頭痛
通常、こめかみに痛みが起こり、胃酸過多、過敏性腸症候群(IBS)、下痢など消化器系の不調や体内に熱がこもるなどの不調を伴うことがあります。怒りやイライラも片頭痛を誘発する可能性があります。太陽の下で長時間過ごす、熱性の食べ物、食事を抜かす、夜更かしなども誘発因子です。
カファ性片頭痛
鈍い痛みと頭の重さが特徴です。副鼻腔炎、消化不良、食欲不振、胸部のつまり感などを伴うことがあります。食べ過ぎ、過剰な睡眠、冷たい天候、アレルギーなどが誘発因子です。
片頭痛に対するアーユルヴェーダのアプローチ
片頭痛の改善方法として、アーユルヴェーダはオジャスを増やし、心をリラックスさせ、神経系を強化することを目指します。患者の体質と片頭痛の根本原因を見立てたら、それに応じた生薬の処方、食事や生活習慣のアドバイスを行います。消化力が強くなるとアーマ(体内毒素)は制御されるようになります。結果、片頭痛の根本原因が取り除かれます。
パンチャカルマの効果
生薬に加えてパンチャカルマ療法も片頭痛改善に効果を上げます。片頭痛、吐き気、イライラはマノーヴァハ・スロータス(心のチャンネル)にアーマが蓄積していることから起こります。アーマを除去することで生薬の効果が高まり、片頭痛の再発を防ぐことができます。
パンチャカルマ療法はアーマを取り除き、組織(ダートゥ)を深部から浄化し、ドーシャのバランスを整える効果があります。片頭痛に効果が高いパンチャカルマは、鼻にオイルを入れるナスヤです。
片頭痛を緩和するホームレメディー
家庭でできる簡単な片頭痛緩和ホームレメディーをご紹介します。
●クレイやサンダルウッドパウダーにローズウォーターを混ぜたペーストを額に塗る。
●シナモンオイル小さじ1にクローブパウダー小さじ1/4を混ぜたものを20-30分間、額に塗る。
●コリアンダーシードまたはコリアンダーパウダー小さじ1を一晩水につけておき、翌朝、空腹時に飲む。片頭痛を緩和し、それに関連した症状を緩和する。
生活習慣の改善
●規則正しい生活を送る。電気を消した暗い寝室で6-8時間の睡眠をとる。
●食事を抜かさず、お酒やカフェインなどの刺激物を避ける。
●呼吸法やヨガを実践して心と体のストレスを軽減する。片頭痛にはパスチモッターナーサナ(前屈のポーズ)、ウッタナーサナ(立位前屈のポーズ)、ウールドヴァ・ムカ・シュヴァナーサナ(上向きの犬のポーズ)、サヴァーサナ(屍のポーズ)がおススメ。
●頭部と首をセルフマッサージする。血流を改善し、筋肉と神経を滑らかにします。
こうしたホームレメディーや生活改善を行っても片頭痛が改善しないときには、アーユルヴェーダドクターにご相談ください。オンラインでジヴァ・アーユルヴェーダのドクター・パルタップやその他のドクターのコンサルテーションを受けられます。